僕はRADWIMPSをなめていた

メジャーすぎるバンドはフェスでは輝かない。
そんなイメージが僕にはあった。

勝手すぎる話だが、フェスの参加者の人々は知っている曲での盛り上がりと、知らない曲での盛り上がりの温度差がすごい。
有名なアーティストになるほど、とりあえず行ってみようという客層が増え、相対的に有名曲しか知らないお客さんが増える。
それとたまにしかフェスに出ないバンドだと、フェスで期待されている曲の構成をうまく組めていない印象を受けることも多い。
フェスで成長してきたバンドなら、有名曲と新しい曲でセットリストを組んでも盛り上がるが、そうでないアーティストの皆さんは無難に定番曲でセットリストを組んだ方が、結果として新規の客を獲得することにもつながるのではないかと思っている。

RADWIMPSをベストアクトにあげたい

ROCK IN JAPAN FESTIVELの最終日の最後のアーティストはRADWIMPSだった。
かなり好きなバンドだが、僕の中でフェスの最後はヘッドライナーを見るという謎ルールが出来上がっていたから行っただけで、正直あまり期待していなかった。
良い悪いは別にして、フェス慣れしていないような気がしていたからだ。
BUMPなんかはそんなバンドでどうもロッキンでは物足りないライブになってしまう。元々のワンマンの雰囲気とフェスの雰囲気が違いすぎるからだろう。

最高だった。2日間で15アーティストほど見たが、RADが最強
期待値の低さも含めての高評価かもしれないが、とにかく良かった。なんとなくな気持ちでグラスステージを選んだことを謝りたい

というわけで以下、ライブレポートをお送りするので見たくない人はブラウザバックでよろしく。

序盤は最近知ってくれた人向け

ロッキンのメインステージの集客人数はおよそ6万人と言われている。
他のステージには収容人数に達するお客さんが入った時は入場規制がかかることもあるがこのステージにはそれはない
というかそもそも入れなくなるほどの客入りは見たことがない。
とんでもなく広いし、同時刻に別のステージでの演奏もあるからだ。
僕はスタンディングゾーンの中ほどにいたので見ていないが、一緒に行った友人によると、テントゾーンの歩道まで人がびっしりだったそうだ。恐るべき集客力

そんな中で始まった一曲目は『夢灯篭』
映画『君の名は』の劇中歌でRADWIMPSのアルバムには収録されていない楽曲で、映画のサウンドトラックにしか入っていない。
野田さんのギターとともにしっとりとしたスタートだったが、まさかのマイクがオフになっているというハプニング
すぐに音声は復活したものの最初の方は聞き取れなかった。

程よい雰囲気で始まった2曲目は『前前前世』
これは驚き。今、一番知られている曲はおそらくこれで、映画でRADを知ってファンになった人も多かったと思うし、後半の盛り上がりに配置してくると予想していたので、少し面食らった。会場ヒートアップ。野田洋次郎の思う壺だ。

続けては『05410-(ん)』
読みは「おこして」
4thアルバムの人気曲だが、この流れでくるとは思わなかった。小さく会場が爆発した。
ほとんど英語の曲なのにみんなよく歌えるなあと感心。ワンマンでもないのに。

会場のテンションを一気に上げてここでMCタイム
「7年ぶりにROCK IN JAPANに出させてもらったんですけど、ちょっと浮き足立っちゃったのかど頭で音が切れちゃいましたね。かなり好きな曲なんでアカペラでやってもいいですか?」と再び『夢灯篭』を披露
完全なアカペラだった。本当に歌上手いなこの人

そして4曲目の『棒人間』、5曲めの『スパークル』と野田さんがピアノを担当し演奏
ドラマの主題歌と映画の主題歌でちゃんと客層を意識した曲をつないできた。

後半はロッキンのために

「ここからはロッキンが好きなみんなのためにやります。お前らの駄々っ子っぷりを見せてくれよ!」という煽りから『DADA』
一面跳ねる歌うで盛り上がりは最高潮に
入りからかっこいいし、武田さんと桑原さんがドラムを叩くところがとても好き
ところでツインドラムってどんなメリットがあるんですか?その辺素人なんでよくわかりません。

DADA終わりの恒例「よくできました」からの『おしゃかしゃま』
RADはイントロで客が沸く曲ばかりだなあ
ラスサビ前に楽器隊のセッションが入るアレンジ、野田さんの合図というか指をさした人がさしてる時だけ演奏するどこまで決まっていてどこからがアドリブなのか。野田さんが両手をあげれば音が大きく、下げると小さくなるという技も披露、最後には客席も指差し我々も参加、かっこよすぎてはきそうでした。

MCはなしに手拍子を求めると、ファンはみんな次に来る曲を理解して声をあげた。もはやイントロも不要なのかよ。
4thアルバムの『いいんですか』で大合唱を生み出す

「これで最後ですありがとうございました!」から本編ラストは『君と羊と青』
これもしびれるイントロからのスタート
歌いすぎて声かれました。

感動のアンコール

アンコールを求める際に「アンコール」という文化はもう既に廃れていて、手拍子で呼び込むのが一般的になっているが、時折バンドのファンではバンドも曲を歌うことがある。
RADWIMPSではそれが『もしも』という楽曲らしく、前線ではその合唱が起こっていた。
しかしここはフェスの会場なので、そのルールを知らないその他の方々はいつも通り手拍子

そんな中、ステージ横のスクリーンに映った客の誰かが携帯のライトをかざしていたのを受けて、他のお客さんもやりだすと、歌も手拍子も止めて全員が光を放つ何かをかざし、一面に幻想的な光景が広がっていった。他のアーティストでも夜の演奏になるとこの演出を行うことがあるが、自発的に生み出されることはない。奇跡の光景だ。

そして再登場した野田さんが「ちょっとそのまま光もらってもいいですか。夜の時間に演奏するということでこの曲をやりたいと思っていました。空は曇りで星が見えないけど、地上の星を見て歌います」とアンコール一発目は『トレモロ』

『満点の空に君の声が、響いてもいいような綺麗な夜」という歌い出しのこの歌
もしここまで予期していたなら野田さんは天才を超えているし、そうでないならこれはミラクルだ
スクリーンには時々会場の様子も写してくれて、幻想的なシーンが生まれる。泣きました。

最後の曲は『有心論』で4日間の大トリの演奏もここに終演
2017年のROCK IN JAPAN FESTIVALも終わり、花火が打ち上がります。

登場してきた瞬間から野田洋次郎は他の人間とは違うオーラをまとっているようだった。
セットリストは完璧で、演奏中に次はこれかなっていう想像を毎回超えてくれていた
終わった今も、この曲の方が良かったという部分は思いつかない。

最後にアンコールで野田さんが「こうやってフェスで盛り上がってくれた後は、ぜひそのアーティストのワンマンライブに行ってください。」と言っていた。音楽業界が抱える問題の一つだけど、ステージ上で戦争とか核問題とかの話をされるよりよっぽどいいなと思いました。
こんないいライブするなら、ワンマンに行ってみたいとRADWIMPSのライブは思わせてくれたし、他のアーティストのライブにも参加してみたいと思ったライブでした。

セットリスト
 1.夢灯篭
 2.前前前世
 3.05410-(ん)
 4.棒人間
 5.スパークル
 6.DADA
 7.おしゃかしゃま
 8.いいんですか
 9.君と羊と青
アンコール
 1.トレモロ
 2.有心論

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