FLOWER FLOWERがYUIとのバランスをようやく掴んだ『夢』

今日の一曲
楽曲:夢
アーティスト:FLOWER FLOWER

プロフィール

FLOWER FLOWER

メンバー
yui(Vo./Gt)
mura☆jun(key)
mafumafu(Ba)
sacchan(Dr)

 シンガーソングライター「YUI」のバンド

 世間の認知はそう。というか広い意味での世間には全く認知されていない。みんな引退したと思っている。

 2012年にソロでの活動休止を発表し、翌年にバンドを結成。ソロ時代の爽やかで綺麗なイメージを一新するために、当初から派手な金髪に染めて、音楽性もがらっと変えてきた。おかげでソロ時代のファンはほとんどついてこなかったけど、当時求められるYUI像に苦しんでいた本人としては仕方のない再スタートだったんだろうな。

Information


・2020年2月14日:YouTubeにミュージックビデオを公開
・2020年3月25日:3rdアルバム「ターゲット」に収録

YouTube comments

・なんなんだ。yui史上最高にかわいいじゃないか。 そして、これは新しいagainなのかな。 大人になったyuiの、落ち着いた、かっこいい表現だなぁ。

・yuiが歌ってるこの曲は何故か分からないけどYUIを思い出すなぁ

・ソロ時代の曲は全てローマ字か英語 フラワーフラワーの曲は全て日本語 この曲はdreamより夢が似合う気がする

・20歳を超え、大人になり、自由に語ってた夢も「現実」を見るうちに褪せ始めてた矢先、また彼女が私の背中を軽く押してくれる、そんな歌に出会えました。ありがとう。ずっと大好きです。

・ずっと憧れだし、かっこいい生き方だな。歌い続けてくれてありがとう

迷いが抜けたような

 YUIの全盛期、僕は高校生だった。通っていた高校の正門の前にバカでかい広告の看板があり、ある時それがYUIのアルバムのジャケット写真に変わった。ちょっとどのアルバムかは忘れちゃったんだけど、YUIの顔のドアップだったことは覚えている。あまりの可愛さに男子生徒はみな恋をし、女子生徒は帰りがけに看板に向かって石を投げ、悪口を言って帰るそんな高校生活だった・・・

 10代の頃から単身路上ライブを行い、チャンスを掴み売れに売れた。幼さの残る綺麗な歌声と、その容姿のせいかおかげか、ひたすらにポップスな音楽性を求められていた。

 甘酸っぱい恋愛の曲以外にもロックサウンドで夢や葛藤を歌う曲も少なくはなかったけれど、それでも最終的には受け入れられやすいようなポップネスな曲だった。そしてそんな世のイメージや事務所の意向に耐えられなくなったYUIはJPOPのトップの座にいるその時に活動休止という道を選ぶ。

 ほどなくしてバンドを結成するのだけど、まずは世間にこびりついたイメージをなんとかするために、清純派の見た目を一新し、作る曲からも明るさが消えた。

 FLOWER FLOWERの初期の楽曲はまさにそんな感じで、徹底してYUIっぽさを消そうとしている。歪んだ音を中心に暗めな世界観、バンドであることにこだわるように、メンバーの音がメインでそこに小さくyuiの声が乗るようなものも多かった。

 おかげでファンはふるいにかけられた。バンド結成を知った人たちはおそらく一度はFLOWER FLOWERの曲を聴いたと思うけど、多くがそこで挫折した。

 先日友人から「FLOWER FLOWERの『夢』って曲がYUIっぽくてよかった」と教えられ、いや本人はそんな感想は望んでいないだろ、と思いながらも聴いてみた。そして思った。うん。なんか言っていること、わかる

 昔のYUIも夢を追う歌を書いていた。でも今のyuiはちゃんと大人なりの現実の中でもがく夢を追っていた。「あの日は今も輝いてるけど」とか「負け犬なんて言葉があるなら 誇らしく名乗ってみるよ」とか

 前向きな歌詞もそうだけど、ついにFLOWER FLOWERがキャッチーさで勝負してきたな、と思った。もともとこういう曲が書ける人なのに、あえて抑えてきたものをようやく発揮してきた。いろんな人が言っているけど、「あるでしょ」とか「いいでしょ」の歌い方がいかにもYUIっぽい。

 テレビで『夢』を披露した時も、その前に『CHE.R.RY』を歌っていたし、思えば年末のCOUNTDOWN JAPANで見た時も、『Rolling Star』を歌っていた。イントロでの盛り上がりはライブの中で一番だった。

 YUI時代の曲はFLOWER FLOWERではあまりやっていなかったと思うんだけど、ついに解禁してきた。これをきっかけにバンドの方の音楽に触れる人も増えてくるし、今回リリースした「ターゲット」というアルバムはYUIとFLOWER FLOWERのいいバランスのとれた曲が多いと思う。

 これまでは難しめな音楽性だったけど、かなりキャッチーになってきた。それでいてJ-POPすぎず、ちゃんとバンドサウンドしている。そりゃあれだけ一世を風靡したソングライターがいるんだ。その気になればまた新しいブレイクを起こせるに違いない。その時にきっとYUIの呪縛からも解放される。

Favorite lyrics

過去にすがりついてたって
手に入れられないからって
追いかけてみなきゃ
わからないこともあるでしょ
いいでしょ?

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