曲をそっちのけでMCを聞きに行きたくなるバンドを考えた

 年間その気になれば毎週どこかしらで開催されているようになった音楽フェス。個人的にはワンマンに行った方がバンドのためにもなるかなと、フェスは決めたいくつかだけに行って、出来るだけワンマンに行こうと心がけているが、フェスにはフェスの楽しみ方がある。

 同時にフェスならではの悩みもある。それは出演時間の被りだ。知っているバンドが増えるほどに、タイムテーブル発表時に目当てだったバンド同士が横並びの表示されているのを見て悲しむ。そして選択されされる。まだ分身の術を身につけていない僕はどちらかを切り捨てなければならならいのである。

 取捨選択の基準はいくつかある。まず優先されるのはこれまで見たことのない方だ。やっぱりフェスの良さというのは、まだ知らないバンドのライブを少しずつつまみ食いできるというところにある。

 次の基準は、現在の勢い。ライブというのはアーティストを見に行くものではあるが、ライブの質を決める要素の一つのお客さん側の盛り上がりというものがある。それが、今、売れたてで、まさに勢いがあるバンドほどいいリアクションをするものだ。旬なものは美味い。食べられるチャンスがあるなら脂の乗っているうちに、だ。

 じゃあ見たことがあって人気も落ち着いているバンドはどう選ぶのか。そんな時によくあるのが、MCが面白い方、もしくはパフォーマンスが面白い方だ。「ライブで笑いがあるバンド」というのはそれだけで選択肢になり得る。僕は結構そうやって見に行くことがある。今日は何を言うのか、どんな登場をするのか。曲の演奏と違い、笑いはなかなか使い回しが効かない。その日その場所だからこその面白さがあり、聞き逃すと同じネタはそう使われないのだ。

 枕が長くなったけど、今回はそこに着目して、いろんなバンドからメンバーを頂戴して、このバンドなら曲関係なく見に行きたいと思えるバンドを考えてみた。つまり、バンドマンの中でも「笑い」に強みを持つ人たちを紹介したい。

Vo&Gt:稲村太佑(From アルカラ)

「ロック界の奇行師」ことアルカラのギターボーカル

 なんかフェスに行くといっつもいるイメージがある。複数日開催のフェスの何日かだけ行っても、僕の参加日にはいつもいる。謎にアルカラ運がいい。

 4人組だがMCは99%稲村さん任せ。いくら笑いをとる話をしようとも、メンバーが笑っているのもみたことがない。登場シーンでふざける時は協力していたりはするけども。

 そういえば最近見ていないけど、数年前はおもしろMCをした後に「って〇〇のボーカルの□□が言ってましたあ」と人のバンドのMCを盗んでそのまま使っていた。あのシリーズ好きだったな。あんまり覚えてはいないけど。

 それから絵音&ベッキーの事件がいつかの1月に出た1月前のCDJのMCでは、絵音の楽屋に来ていたベッキーにあったと言う話をして笑わせていたらしい。まさか直後に大きな事件になるとも知らず・・・

 こんなこと言われたくないだろうが、稲村さんは結構準備してくるタイプだと思う。完成度が高い。思いつきのMCをしてることはあんまりないし、そうう時は結構スベってるからね。

Ba:たなしん(From グッドモーニングアメリカ)

 2020年1月をもって活動休止してしまったグッドモーニングアメリカのベース

 音源はごめんなさいあんまり聞いていないんだけど、たなしん見たさにグドモのステージを選択したことは何回かある。曲をそんなに知らなくても、フェス映えするノリの曲ばかりなのでなんとかなる。いつも結局楽しい。けど音源は聴かなかった。だから活動休止になったのかも。

 金髪にサングラス、上裸に短パンという奇抜ないでたちに、甲高い声で「ファイアー!!」と叫ぶ。最初はちょっとびっくりするけど、おふざけの中に気遣いもあり、不思議と上品さを感じられるので不快感はない。あと、サングラスを外した素顔はかなりの美形である。

「みなさん!僕が『ファイアー』と言ったら、『ファイアー』で返してもらってもいいですか!」の後に客を待たずに自分で「いいよ!」とやるネタが好きだ。たぶん文にすると伝わらない。つまらない。たなしんごめん。

 バンドは休止になったけど、たなしん自体はYouTuberにチャレンジしていたり、タナシンドロームというDJ活動をやったりしているので、これからも見る機会はあるかもしれない。

Dr:鈴鹿秋斗(From 夜の本気ダンス)

「みなさん、踊れる準備できてますか〜!」とライブでは5回は煽られる京都のバンド夜の本気ダンス

 これもまあグドモと似たようなもので、鈴鹿さんのMCが聴きたくて行くことが多い。名前の通りダンスチューンがほとんどなので無条件に楽しめる。

 今回取り上げる人たちの中で、話術は一番だと思う。というか最近では「面白い人」が先行しすぎて、登場するだけで会場がざわつき、MCはじめに「イェーイ!」っていうだけで笑いが起きるようになっている。あと稲村さんもそうなんだけど、関東人からすると関西系の方言というかイントネーションで喋られると問答無用で面白いね。ずるい

 登場、中盤のMC、退場と最初から最後まで笑いを作れる達人。他のメンバーと違い、その場でお客さんをいじったりメンバーをいじったりしても笑いを取れる。他のバンドの名前を出して面白くすることも多い。鈴鹿さんのおかげで、夜ダンを全く知らない友人を連れて行っても楽しんでもらえること請け合いだ。

Key:平沢あくび(From ニガミ17才)

「オシャレ且つ変態な楽曲の表現」をテーマに掲げるニガミ17才のキーボード

 クセのある男性陣の中には華やかさも必要だ。これでテレビにも耐えうる画が見込まれる。が、あまり喋らせるのには向いていない。これまでもニガミで何度か深夜の音楽番組には出ていたけど、その時は「AVをドキュメンタリーとして見てる」とか言ってダウンタウンを引かせていたし、バズリズムでは「電車で悪い奴が入ってきて、『この中の誰かとヤレ」って言われたらどうするか妄想してる」と言ってバカリズムを困らせていた。ホントの変態だ。

 ライブで見たときも、シンセの横に箱ティッシュを置いていて、目の前のマイクもおかまいなしに鼻をかんでいた。そしてそのティッシュは適当にステージに放っていた。

あんまりMCはしていなかった記憶があるけど、バンドのビジュアルとテレビ用に入れておきたい。

考えてて楽しかった

 曲作ってるの稲村さんだけだから、アルカラ風なバンドになるのかな。アルカラキーボードいないけど。

 この人たちが組んだら絶対見に行く。演奏1時間それ以外1時間でいい。オープニングから変な登場して、たなしんが叫んでライブが始まって、稲村さんと鈴鹿さんが交互にMCをする。あくびちゃんは振られた時に不思議なリアクションをして笑いを取る。

 考えてて楽しかったです。また

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