この衝動を探すために僕らはライブハウスに通う、ひかりのなかに

JAPAN'S NEXT 渋谷JACK 2018WINTERに参加してきました。
タイムテーブルの関係で時間が被ってしまうことが多いため、行ったアーティストは全てフルで見たわけではありませんが、聞きかじったものも含めると12組のライブを見ることが出来ました。まだ大きなフェスに出るような規模のバンドは少なく、これからに期待される次世代のアーティストとの出会いの場です。今回見たバンドは全てライブに参加するのは初めてでした。

そんな中、一番心に残ったバンドをご紹介します。

RO JACKの優勝者

RO JACKというイベントをご存知でしょうか。
ロッキング・オンの主催するバンド・アーティストのオーディションで一般公募で選考が行われ、毎年、夏と冬に優勝アーティストが決められます。ちなみに優勝は回によりますが、最近は5組前後です。優勝者は渋谷JACKに加え、夏はロッキン冬はカウントダウンジャパンへの出場権が与えられます。普段ライブハウスで頑張っているようなアーティストにとって夢と希望に満ちた大きなチャンスの場になっています。

そんなRO JACK2018冬に優勝し、今回のチャンスを勝ち取ったひかりのなかにのステージを見てきました。

若さ青さの17才バンド

タイムテーブルを確認した時に特に行きたいと思えるバンドがなかった時間帯だったため、一番知名度のないバンドであろうRO JACKの優勝枠にいってみようかという軽い気持ちでした。

とりあえずYouTubeで予習するかなと思うと上がっていたのは2曲だけ。

ライブ映像に下手くそな編集でこれでもかと大きくした文字が入っているだけのMV
それもそのはずでこのバンドは、昨年の春に通っている高校の軽音楽部で結成されたばかりの新人で、メンバーは3人とも17才だそうです。
ビデオの紹介欄にしっかりコメントがあるのもまっすぐさと誠実さが感じられて良い。
執筆時点での再生回数はわずか1700回。皆さん超青田買いです。

どうでしょうこの感じ。これを一回見てライブを見てみようと決めました。
年中新しい音楽を探しているのに好きになって聴き続けるバンドはごくわずか。何が自分の心に引っかかるのだろう。もちろん理由は一つではないけれど、大部分を占めているのは感情を揺さぶられるものであるかどうか。この「十六才」のライブ映像にはそれがある。

こちらは執筆時点の再生回数1400回
素人のカラオケの方がよほど見られています。

ボーカルを務めるヤマシタカホの振り絞るような歌い方が心の琴線に触れて来る。これこそライブに行く醍醐味だなあとしみじみ思う。演奏の良し悪しはよくわからないけど、疾走感と熱量はMV以上だった。やっぱりライブを見るからには音源以上の何かないと再び行こうとはならない。今しか書けないような悩みや葛藤を素直な歌詞と勢いのある演奏は十分戦っていける武器だなあと感じた。

反対に不安要素は実物を見た時にわかったボーカルの可愛さ。本人たちはかっこいいロックバンドをやろうとしていてライブもとてもかっこよかった。17才を捕まえて童顔だというのもおかしいけど、モテそうな顔をしている。この日のお客さんも男性比率が高く一番前にはアイドルを応援しているかのようなおじさんも見かけた。目先のお客さんを増やすためにMCで可愛さを出すようにならないことを願う。この日はすごく熱いことを言っていてさらさらそんな気はないだろうけど、やはり増やすべきは若い女性のファン層であり、そうならなければ目指している場所にはいけないだろう。

人生を変える瞬間がライブハウスにはある

MCでは今ここに立っている感動と興奮がひしひしと伝わってきた。原文そのままではないけれど記憶を辿って書き起こすと、

「RO JACKには応募したものの自分たちの音楽なんかでは無理なんだって思う日もあって、絶対行けるんだって思うときもあった」
「結成から1年でこのステージに立てることになって、中学生の頃からずっと通っていたCOUNTDOWN JAPANにも出場することが決まっていて、こんなチャンスを掴めるなんて思っても見なかった」
「これからも駆け抜けていくので少しでも好きになってくれた方がいればついてきてほしい」

と言ったようなことを。
特に印象に残ったのがRO JACKの優勝から1週間後にこのステージに立つことになったと言った話。
こんなチャンスがどこに転がっているかわからないから日々バンドはライブハウスで戦っている。でもこれに出たから売れるというわけでもない。今この瞬間のライブに人生をかけているその思いがパフォーマンスから感じられた。

今回見たのはO-WESTビル7Fの一番小さいステージで、それがいっぱいになるくらいにお客さんが集まっていた。数えたわけではないが50人以上はきていたと思う。軽い気持ちで見に行っていたし、帰りも一台しかないエレベーターで降りないといけないので並びたくないから途中で抜けようと思っていたのに、パフォーマンスに心打たれて最後まで見てしまった。周りにもそんなお客さんがたくさんいたし、ひかりのなかにはこのチャンスにしっかり爪痕を残して行った。

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